三十年もの歴史を持つアプリケーションの熟練開発者二人が北欧の金融機関を退職する二か月前、新しいチームが引き継ぎのために採用されました。若い開発者たちは、そのアプリケーションが書かれている言語である Natural の構文には精通していたものの、コードの背後にある、ほとんど文書化されていない業務プロセスについては全く知識がありませんでした。3万6,000件の有効なローン契約と190億ユーロがかかっている状況では、これは単なる人員交代ではなく、重大な事業継続リスクでした。
この状況は、業界全体で深刻化しつつある現実を反映しています。長年 Adabas & Natural を扱ってきた開発者やシステムアーキテクトが退職期を迎える中、企業は重大な課題に直面しています。それは、重要なアプリケーション知識をいかに維持し、基幹業務の継続性を確保するかという問題です。これまでモダナイゼーションの議論は主にツールやインフラに焦点が当てられてきましたが、より戦略的で緊急性の高いテーマが浮かび上がってきています。それは、次世代に向けて持続可能な開発モデルをどのように構築するかということです。
この課題は、すでに多くの組織に創造的な解決策を模索させています。ノルウェーの国営住宅金融機関である Husbanken は、その一例です。同じような世代交代に直面した彼らのチームは、コード解析、自動ドキュメント化、アプリケーション全体の比較分析を支援するために AI を活用し、数十年にわたって構築されてきたシステムに新たな効率性と透明性をもたらしました。これまでベテラン開発者の頭の中にしか存在しなかった知識が、突然、可視化され、構造化され、共有できるようになったのです。まさに、AI 支援型開発が向かう方向性を示す典型的なユースケースと言えます。
隠れたリスク:問題はプログラミングスキルではない
これは、Natural によるプログラミングスキルそのものの不足が主な問題ではありません。Natural は今でも習得しやすく、新しく採用された開発者でも短期間で学べます。一番の複雑さは、数十年かけて積み上げられてきたアプリケーションの深い業務ロジックやビジネス知識をどう引き継ぐかにあります。多くの顧客環境では、こうした知識の大半が少数の経験豊富な社員の頭の中にあり、その多くが退職を間近に控えています。彼らが去れば、組織は技術的な能力だけでなく、ミッションクリティカルな業務知見そのものを失うリスクに直面するのです。
この状況は、開発業務の大部分を外部委託している組織にとって、特に深刻です。アプリケーションを構築し、保守し、システムとその背後にある業務を理解している開発者が退職すると、技術的な実装と戦略的なビジネスニーズをつなぐ橋が崩れかねません。危機にさらされるのは、技術的な安定性だけではなく、ビジネスの俊敏性や、適切に管理すべきリスクそのものでもあるのです。
この状況に対処するため、先進的な組織はすでに積極的な取り組みを始めています。かつての専門家をパートタイムで再雇用し、新しいチームメンバーのメンターとして活用する企業もあれば、開発者が迅速かつ効果的に立ち上がれるよう、体系的なオンボーディングや役割別の学習パスに投資する企業もあります。Software AG は、自社の学習プラットフォームを通じてこれを直接支援しており、新しいチームメンバーが Adabas & Natural の専門性を身につけられるよう、特化したトレーニングプログラムや認定コースを提供しています。こうした取り組みによって、アプリケーションに関する知識は保存され、共有され、段階的に引き継がれ、長期的なリスクが軽減され、組織としてのレジリエンスが強化されます。こうした取り組みの具体的な内容については、The Junior Developer’s Guide to Legacy Systemsをご視聴ください。
世代をつなぐツール
同時に、開発チームはツールチェーンの見直しも進めています。Natural AI Code Assistant (2026 年にリリース予定)は、世代交代の課題に直接対応する主要ツールとなる見込みです。Adabas & Natural の環境向けに特化して設計されており、既存ドキュメントに関する質問、馴染みのないコードの理解と説明、新しいコードの生成と検証、自動テストの実行を支援します。これらの機能は、経験豊富な開発者がもはや質問に答えられない状況で特に価値を発揮します。また、オンプレミスとクラウドの両方に対応しており、これらのシステムに依存するエンタープライズ顧客のセキュリティおよびコンプライアンス要件を反映しています。
2026 年にリリース予定の Natural for Visual Studio Code は、今日の開発者がすでに使い慣れている IDE に Natural 開発を取り込むことで、これを補完する存在となります。馴染みのあるインターフェース、VS Code エコシステムとのシームレスな統合、そして COBOL、SSH、JCL と並行した DevOps ワークフローのサポートにより、新しく採用された開発者の学習負荷を下げ、Natural を新卒者にも扱いやすいものにします。また、ソースコードリポジトリとの統合により、ブランチ戦略の実装や並行開発の管理が可能になり、地理的に分散したチームにとって特に有用です。DevOps の実践は、ビジネスロジックを自動テストやデプロイメントパイプラインに組み込むことで、制度的知識の継承にも寄与します。経験豊富な開発者が退職しても、その専門知識は記憶の中だけでなく、コード、テスト、プロセスの中に生き続けるのです。
最後に、Eclipse ベースの最新開発環境を備え、高度なデバッグ、プロファイリング、コードカバレッジなど生産性を高める機能を備えた NaturalONE の採用により、より迅速なオンボーディングとコラボレーションの向上が可能になります。バージニア州車両管理局(DMV: Virginia Department of Motor Vehicles)が、年間数百万件のトランザクションを処理する信頼性を維持しながら、NaturalONE を活用してメインフレーム開発をどのようにモダナイズしたかをご覧ください。また、バージニア州 DMV の Joshua Elkins 氏が、自身の言葉でそのモダナイゼーションの歩みを語る様子もご視聴できます。
開発手法をモダナイズすることによるビジネスへの影響は明らかです。市場投入までの時間短縮、変更管理の柔軟性向上、そして DevOps を支える基盤の確立により、より応答性の高い IT 組織が実現します。これらの能力は、基幹システムの信頼性を損なうことなくデジタルトランスフォーメーションを推進するうえで、不可欠なものとなっています。
しかし、開発モダナイゼーションの成功には、組織としての全面的なコミットメントが欠かせません。部分的な移行では、課題を解決するどころか、かえって非効率を生むことが多いのです。最大の成果を得ている組織は、技術導入を明確な戦略方針とチェンジマネジメントと結びつけて進めています。
Natural 開発の未来
先を見据えると、イノベーションはさらに進化し続けています。Natural 開発のための追加のモダンなインターフェースとして Visual Studio Code へと進化していく流れと、Natural AI Code Assistant の組み合わせは、業界標準や現代の開発者が求める期待に明確に歩調を合わせていることを示しています。これらはどちらも 2026 年にリリース予定で、Adabas & Natural をこれまで以上に扱いやすく、生産的で、将来を見据えたツールへと進化させることが期待されています。
スキル開発、ツール導入、そして戦略的な計画を組み合わせた、開発モダナイゼーションへの包括的なアプローチを取る組織こそが、 世代交代の波を最もスムーズに乗り越えられる立場にたてます。今行動することで、アプリケーションに埋め込まれた知識を守り、将来にわたってビジネスの成功を継続的に確保できます。この移行を支援するために Software AG が提供するプロフェッショナルサービス、トレーニングプログラム、人材ソリューションなどを幅広く知りたい場合は、Adabas & Natural の次世代エキスパートを育てるをご参照下さい。