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iPaaS(Integration Platform-as-a-Service)バイヤーズガイド

iPaaS Buyers guide workflow graphic

1. iPaaSの概要

当iPaaSバイヤーズガイドの内容

このガイドは、ビジネスに最適なiPaaSソリューションを選ぶ際に必要な知識を提供するために作られました。iPaaS とは何かを理解し、何が提供されているのか、何が提供されていないのかを確認する方法を明確にし、組織の予算と固有のニーズに対し、最適な選択をするのに役立ちます。

このガイドは、次の3つのセクションに分かれています。

  • まず、クラウドベースの統合プラットフォームで独自に解決できる問題を取り上げます。現在のiPaaSの市場状況と、今後数年間でどのように変化する可能性があるかについて説明します。
  • 次に、一般的なソリューションで利用可能な機能を分かりやすく説明します。自社にとっての必須機能、役立つが必須ではない機能、使用される可能性が低い機能を区別する方法を学びます。
  • 最後に、iPaaS購入検討者が見落としがちな、注意が必要な点について説明します。技術面だけでなく、サポート、価格設定、カスタマーエクスペリエンスの面でも、何に注目すべきかを分かりやすく解説します。また、現在と将来のニーズを予測するビジネスケースを内部関係者とともに構築するための初期段階を支援します。

このガイドはシンプルでわかりやすく作成されていますので、組織全体で便利にご活用頂けます。


iPaaS購入検討時の課題

IPaaS市場は比較的新しい市場であるため、購入を考えたとき、今まで出会ったことのない課題に出会います。当社独自の調査により、ビジネスを成功に導くために注力すべき3つの主要な課題を特定しました。

  • どの機能が重要かを見極める
    iPaaSを購入する際の重要な最初のステップは、各ソリューションで提供される機能を理解することです。次に、現在の組織にとって必須の機能群と、近い将来に必要になる機能、そして組織にとっては必要のない機能を判断する必要があります。
  • 価格差の理由を理解する
    価格設定を理解することは、機能を理解することと同じくらい重要です。なぜなら、価格は購入の意思決定を大きく左右するものであり、長期的と短期的な価格設定の検討では考慮する事項が一致しないことが多いからです。価格設定が、固定価格、サブスクリプション、トランザクション単位の価格のいずれであっても、ビジネスの成長に伴う将来のシナリオを考慮しながら、慎重に見積もりを精査する必要があります。使用しない容量に料金を支払うのは無駄なことです。また、トランザクションベースの料金は、得られるROIと一致していなければなりません。
  • 購入の妥当性を示す
    (1) 通常のプロセスで数百のインテグレーション ジョブを作成・管理するために必要なFTE(フルタイム当量)の低減 (2) 標準化、再利用、連携による構造的および組織全体の効率向上 (3) IoT、エッジ、柔軟なデータ標準などの最新のパラダイムを利用しつつ、レガシーテクノロジーをサポートすることによる大幅なコスト削減
ところで…そもそもiPaaSとは何か?

iPaaSとは、integration Platform-as-a-Serviceの略で、クラウドに導入される統合プラットフォームであり、非常にシンプルなものです。「アズ ア サービス」ソリューションの枠組みにおける位置付けについて、以下に簡単な概要を示します。

SaaS (Software-as-a-Service): SaaSは、個々のアプリケーションを提供するクラウドサービスであり、通常はブラウザから直接アクセスします。これは、Dropbox、WebEx、GotoMeetingのような、多くの人に認識されている広範なカテゴリです。最近では大規模な組織なら数百、数千ものSaaSアプリケーションを所有していることもあり、ベンダーロックインや相互運用性の問題によるリスクがあります。

PaaS (Platform-as-a-Service): PaaSは、より広範なクラウドコンピューティングプラットフォームであり、開発者がオペレーティングシステムやインフラストラクチャの複雑さに対処することなく、アプリケーションの開発に集中できるものです。PaaSは一般に、エンタープライズクラスのスケーラビリティとセキュリティを容易に実現します。

iPaaS (Integration Platform-as-a-Service): iPaaSはPaaSの一種で、SaaSアプリとオンプレミスアプリを連携し統合します。弊社のiPaaSではアプリおよびデータをインテグレーションし、新たなAPI、マイクロサービスを作成できます。そしてAPIを管理し、取引先パートナーや3rdパーティアプリと連携することができます。トップレベルのソリューションは、軽量でクラウドネイティブであり、開発者や技術者以外のユーザーが、視覚的に直感的なユーザーインターフェースやダッシュボードを介して簡単にアクセスできる傾向があります。

2. 提供されるものを把握する方法

このセクションは3つのパートに分かれています。特徴や機能の違いを見極める方法、エンタープライズクラスの機能による将来のニーズへの対処を予測する方法、多くのiPaaS購入権当社が見落としがちな考慮点について理解することができます。

特徴や機能の違いを見極める
 – ノーコードで誰もがインテグレーションできるのか?

おそらく、iPaaSを購入予定の方にとっての最大の課題は、ビジネス上の問題とユースケースを特定することでしょう。ニーズを明確に理解していなければ、どのソリューションがそれらに対応できるかを判断するのは困難です。重要な問題は、誰がインテグレーションを構築するかということです。それは、主要なステークホルダーです。最高レベルのiPaaSソリューションでは、ユーザーが魔法使いのようにコーディングできる熟練した開発者であろうと、技術に詳しくないビジネスリーダーであろうと、誰でもインテグレーションを実行できます。注目すべき特徴と機能は次のとおりです。

  • ユーザーインターフェイス/使いやすさ: 開発者以外のユーザーでもiPaaSワークフローを理解し、開発し、変更でき、誰でもインテグレーションを実行できることが重要です。つまり、ノーコードで一般的なアクションを予測して提案できる、ビジュアルダッシュボード、ドラッグ&ドロップデザイン、強力なAIと機械学習機能が必要です。同時に上級開発者には、中身を精査してカスタムコネクタとインテグレーションを作成できる機能も提供する必要があります。
  • コネクタの数と品質: 多くのコネクタにアクセスできる人であれば、サイロを解消して、顧客向けの新製品やサービスのためのイノベーションを実現できる柔軟性と俊敏性を備えています。しかし品質も重要な点に注意してください。一部のベンダーは、提供するコネクタの数を誇示していますが、そのうちいくつが独自のコネクタや有用なコネクタで、重複が無く異なる価格設定やサービスレベルに応じて利用できるコネクタがいくつあるのかは明らかにしていません。使用しないコネクタに余計な料金を支払うことは、100種類のコネクタを購入して実際にはほんの一部しか利用しないということと同等に無駄なことなのです。
  • コネクタの変更や構築のしやすさ: ソリューションに付属するコネクタは、方程式の一部にすぎません。強力なiPaaSを利用するには、カスタムアプリや新しいテクノロジーに対応して既存のコネクタを容易に変更したり、新規のコネクタを構築したりすることが出来なければなりません。今までのやり方にとらわれないようにしてください。
  • 色々なインテグレーションスタイルへの柔軟なサポート: リアルタイム、バッチ、スケジュール、イベントベース、さらにはストリーミングのインテグレーションスタイルにアクセスできることが重要です。インテグレーション プラットフォームは、時間の経過とともにさまざまなニーズに対応する必要が出てきます。
  • データ変換と複雑なオーケストレーション: データ複製やバッチインテグレーションのための単純な自動ワークフロー作成機能があると便利です。ただし、複数のアプリケーション エンド ポイントとデータ変換を伴う複雑なロジックを含むリアルタイムのユースケースを検討している場合は、プラットフォームがニーズに対応できるかどうかを確認してください。
  • クラウド・オンプレミス両方のインテグレーションが可能: 多くのソリューションはクラウド インテグレーションまたはオンプレミス インテグレーションを対象としていますが、ハイブリッドモデルでクラウドとオンプレミスの両方をインテグレーションすることができるのが、最良のソリューションです。これには、パブリッククラウド、プライベートクラウド、マルチクラウドなどのインテグレーションも含みます。アプリにインテグレーションを組み込むこともできます。そのため、単一のプラットフォームですべての統合ニーズに対応でき、クラウドベンダーに縛られることがなくなります。

エンタープライズクラスの機能 - 将来のニーズにも対応できるのか?

もう一つの検討すべき事項は、購入を検討しているソリューションが本当にエンタープライズクラスであるかどうかです。そのソリューションは将来のニーズにも対応できるでしょうか?現在検討中の機能のみを持つソリューションを購入してしまうと、将来、必要性が出てきたときにまた追加購入しなければいけない羽目になります。

エンタープライズクラスのiPaaSを識別するのに役立つ、5つの考慮すべき点を以下に示します。

  • ハイブリッド インテグレーションをサポートしているか? クラウドとオンプレミスに分散した環境全体にわたるすべてのインテグレーションニーズに対処できるかどうかを検討してください。多くのインテグレーションはクラウド上で行われ、それをサポートするオプションが多数ありますが、オンプレミスで継続してレガシーのアプリケーションを使用する企業にとっては、インテグレーションが非常に制限される可能性があります。たいていのiPaaS製品には、最新のアプリケーションのみに対応する「ライト」バージョンがありますが、企業が日常的に利用しているレガシーアプリケーションの多くはインテグレーションの対象から外れています。
  • CI/CD(継続的インテグレーションと継続的デリバリー)に対応できるか? メジャーな混乱を回避し、最高品質のカスタマーサービスを確保するには、iPaaSがCI/CD環境で動作可能であることが極めて重要です。これは、DevOpsアプローチの特徴です。CI/CDは、変更をマージして中央リポジトリに統合するプロセスの自動化から、テストの自動化、配信の自動化まで、ソフトウェアの品質を向上させ、検証時間を短縮し、バグをより迅速に特定して対処できるようにします。
  • 拡張性があるか? エンタープライズクラスのiPaaSは、導入時点での妥当性を示す必要があるものの、新しい収益源やチャネルを開拓する際にも、迅速にスケールを拡張して安定した状態を維持させることが出来る拡張性をもっていることが大切です。また、 会計・経理や人事、受発注管理、製造管理 などの記録のためのシステム(SoR)を置き換えることなく、IoTやサードパーティシステムなどのテクノロジーを追加して、クラウドの需要に対応する必要もあります。
  • モニタリング機能はどの程度容易かつ高度であるか? 可視性、モニタリング、使用状況の追跡を一元化することは不可欠です。エンタープライズクラスのiPaaSは使いやすく理解しやすいだけでなく、必要に応じて拡張できる高度なモニタリング機能を備えている必要があります。また問題を見逃さないよう、ドリルダウンして細部まで確認できる機能も必要です。これにはたとえば、オンプレミスを含むハイブリッド環境とクラウド環境全体にわたってユーザー固有の分析とサービス固有の分析を実行できることも含まれます。これがすべて可能になれば、すべてのインテグレーションの詳細な監査とセキュリティロギングを一元的に行うことが可能です。
  • 既存および将来のエコシステムと互換性があるか? 企業のバイヤーは、実証済みの信頼性を持ち、予測可能なコストで提供され、迅速な市場投入を実現できるiPaaSを必要としています。ただし、ベンダーとの長期的な関係を考慮することが重要です。市場の変化と顧客の要求に迅速に適応でき、将来性のあるテクノロジーを提供してきた実績を注視してください。最終決定を下す前に、ベンダーが定期的にロードマップを公開しているか、また定期的に製品リリースを行っているかを確認しましょう。これらの情報は、ベンダーがプラットフォームを最新の状態に保持するためにどれだけ投資しているかを知る判断材料になります。

見落としがちな考慮点 - 実は隠れた成功要因!

多くのiPaaS購入者が次の考慮点を見落としています。

  • API の開発と実装の容易さ: インテグレーションとAPIは密接に関連しています。 APIは多くの場合、iPaaSで実行されるインテグレーションサービスの顔として見られています。APIの開発と実装は、ビジネスアナリストとITスペシャリストの両方が満足するための新しいデジタル機能の提供を加速できるほど十分に容易でなくてはなりません。
  • 価格設定と販売方法: 価格設定の透明性、柔軟性、計画は、予測される成長見通しに合わせる必要があります。企業が長期的に使いたいと思うような魅力的に見える価格設定モデルには十分に注意してください。機能を拡張したり、容量を増やしたり、エコシステム内でソリューションを適切に機能させるために手作業でコーディングする必要がある時に、提示される価格の高さに驚くことになります。
  • 購入後はどうなるか - サポートとトレーニング: 多くのiPaaSバイヤーは、理論上は素晴らしく見えるソリューションで、実際には実装で苦労しがちです。料金を支払い済みの機能が、リソース不足のために手つかずのままになる可能性があります。簡単に連絡がつき、友好的で、包括的な購入後のサポートとトレーニングを提供するベンダーを選択してください。最良のiPaaSベンダーとの関係を通じてこそ、パートナーシップをより深めることができます。
  • 開発者エクスペリエンス: I質問に答えてくれるコミュニティはありますか?ドキュメントは充実していますか?無料のトレーニングやビデオはありますか?iPaaSの購入を決定する前に、必要に応じて、組織内の関係者にこれらを評価してもらいましょう。
  • 実行可能性: 将来について公開されているロードマップはありますか?iPaaS市場とそのソリューションは、新しいテクノロジー(IoTなど)とイノベーションに対応するように急速に進化しています。検討するソリューションが何であれ、公開されているロードマップと、長期的な安定性の実績があることを確認してください。そうすれば、数年(または数か月)で取り残されることはないという確信を持つことが出来ます。

3. ビジネスケースを作成し、次のステップに進みましょう!

オンプレミスとクラウド環境のスムーズな連携をサポートするインテグレーション、API管理、マイクロサービスを提供する統合プラットフォームを活用することで、クラウドとオンプレミスのシステムやアプリをつなげるエンドツーエンドのワークフローの可視性と、強固なDevOpsプロセスが実現できます。これより貴社は、ビジネスを完全なハイブリッド環境で実行できるようになります。

ソリューションの候補を特定したら、以下の次のステップに進みます。

ビジネスケースを作成する

ビジネスケースの完全な作成プロセスは、このガイドの範疇ではありませんが、iPaaSに関しての最初のステップは、経営幹部レベルのリーダー、ITディレクターとマネージャー、エンタープライズアーキテクト、そしてiPaaSを機能させるための新しいツールや環境を直接扱う開発者を特定し、彼らの意見を収集することです。

彼らの意見を活用し、さまざまなシナリオに基づいてROIを計算することによって、技術的なソリューションだけでなく、予測されるビジネス成果に基づいて色々な価格設定モデルや考慮点へのアプローチ方法の妥当性を示せるようになります。このステップにより、現在の決定に賛同を得るだけでなく、将来的にも成功できるでしょう。

留意点: : この段階に到達したiPaaSバイヤーは、俊敏性と将来の計画に焦点を当てることで利益を得ます。結局のところiPaaSはこの2つを最大限に高めるように設計されているため、プラットフォーム自体に邪魔されないようにしましょう。

信頼できるアドバイスを得て、ソリューションを評価する

次の3つのルールにより、特定のiPaaSに関して収集した情報が正確であり、自社の状況に適応し、偏りがないことが確認できます。

  • iPaaSを試さずに購入はしない:事前にいくらリサーチしても、使用しているアプリケーション、データ、環境で実際に試してみないと分からないことがあります。無料トライアルを探して実際に使って確認してみましょう。
  • 他のユーザー、特に同じ業界のユーザーの評価を探す:.Gartner Peer Reviewsのようなピアレビューは、一般にアクセス可能な最良の外部調査情報源です。立場や職種が同じ(または近い)者同士の間で行うピアレビューからは、性能や機能などの有形サービス、販売後のサポートなどの無形サービス、ベンダーとの作業の日常的な現実についての、実際の長期的なフィードバックが得られます。
  • 未解決の問題に答えられるエキスパートに連絡する:iPaaS分野のエキスパートは増えています。彼らに率直な質問をすることをお勧めします。一流のエキスパートは、同じ業界の複数の企業を担当した経験があり、何がうまく機能し何がうまく機能しないか、成功のためにどのような詳細情報が必要かなどを十分わかっています。
当ガイドの情報は、どのiPaaSソリューションを検討する場合にも役立つものです。しかし、webMethods.ioが非常に優れていると考えているのは当社だけではありません。当社は、まずリサーチを行い、市場からの要望に基づいてiPaaSを構築し、市場で最高のソリューションであるとお客様から認められています。もしiPaaSの購入を検討されるのであれば、まず、当社が webmethods.io iPaaSでご提供している内容をご確認ください。

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